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「ねじばな」と「夜明け前」島崎藤村(3)第一部終
「ねじばな」と「夜明け前」島崎藤村(3)第一部終 私はあれを書いているうちに、 主人公は主人公、 背景は背景というふうに考えないで、 例えばそれを一つの楽器に譬えてみれば、主なるメロディーとそれから伴奏のようなもの。 ある時はほとんど主になる音はごく僅かしか聞こえないで、伴奏の方が主になっているところもある。 全然主人公よりむしろ実際の動きのようなものの方がおもに書かれているところもありますけれど、私はそれを背景というふうにはだんだん考えなくなったのです。 ...続きを見る

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2008/07/03 22:23
「図書館への緑陰」と「夜明け前」島崎藤村(2)
「図書館への緑陰」と「夜明け前」島崎藤村(2) 和宮様の御通行は、本来ならば東海道経由であるべきところだが、東海道筋は頗(すこぶ)る物騒で、志士浪人が途(みち)に御東下を阻止するような計画があると伝えらたということで、半蔵たちのすむ馬籠経由、東山道(いわゆる中仙道系)を通ることになった。 (公武合体:1862孝明天皇の妹和宮が将軍徳川家茂いえもちへの降嫁。) ...続きを見る

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2008/06/27 07:08
「ざくろの花」と「夜明け前」島崎藤村(1)
「ざくろの花」と「夜明け前」島崎藤村(1) 青山吉左衛門(きちざえもん)の家は、代々「本陣」「庄屋」「問屋」を兼ねた旧家であり、馬籠の村を開拓したのも、この家の祖先でした。 半蔵は馬籠宿本陣の跡取り。 木曽路は 山の奥深い所なのですが、 交通の要所であったために 参勤交代のおなりも含め、 人々の往来は盛んで、 飛脚(ひきゃく)たちが 江戸の便りを運んできます。 ...続きを見る

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2008/06/19 21:58
「南天の花」と「鳴滸(ヲコ)の文学」柳田國男
「南天の花」と「鳴滸(ヲコ)の文学」柳田國男 人を楽しませる文学の一つに、 日本ではヲコという 物の言い方があった。 ...続きを見る

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2008/06/09 01:05
「無花果」と「雪国の春」柳田國男
「無花果」と「雪国の春」柳田國男 柳田が前年末、貴族院書記官長という高級官僚の地位を捨てて 朝日新聞に入社する条件は、三年間の旅ということであり、 その結果が『雪国の春』『秋風帖』『海南小記』の三部作にまとめられたのであった。                          宮田登 巻末解説より ...続きを見る

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2008/06/03 23:48
「萩の花」と「山の人生」柳田國男
「萩の花」と「山の人生」柳田國男 死なずに世の中に背くという方法は 必ずしも時節を待つという趣意で無くとも、 やはり山寺にでも入って法師と共に生活するの他は無かった。 後にはそれを出離の因縁とし、 菩提(ぼだい)の種と名づけて 悦喜した者もあるが、 古来の遁世者(とんせいしゃ)の全部を以て、 仏道勝利の跡と見るのは当を得ないと思う。    旅僧の生活をしようと思えば、 少しは学問なり智慧なりが無ければならなかった。 何の頼む所も無い弱い人間の、 ただ如何にしても以前の群と共に居られぬ者には、 死... ...続きを見る

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2008/05/31 17:03
「月桂樹」と「猫町」萩原朔太郎
「月桂樹」と「猫町」萩原朔太郎 私は悪夢の中で夢を意識し、 目覚めようとして努力しながら、 必死に踠(もが)いている人のように、 おそろしい予感の中で焦燥した。 空は透明に澄んで、 充電した空気の密度は、 いよいよ刻々に嵩まって来た。 建物は不安に歪んで、 病気のように痩(や)せた鶏の脚みたいに、 へんに骨ばって畸形(きけい)に見えた。 「今だ!」 ...続きを見る

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2008/05/28 23:59
「マーガレットメリルU」と「漂流者の文学」萩原朔太郎
「マーガレットメリルU」と「漂流者の文学」萩原朔太郎 我等現代の日本人は、老いたる者も若き者も、 共にその安住すべき心の家郷を持たないことで、 現実の悲しみを共にしている。 信仰もなく、希望もなく、生活の目的さえもない。 常に最も理想家であるべき青年さえが、早くから人生に絶望して、 荒寥たる虚無の原野を、老いたる犬のように漂流している。 すべての人は家郷を持たない。 そして尚その上にも、我等の「日本」を見失っているのである。 ...続きを見る

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2008/05/25 23:58
「紫陽花のつぼみ」と「「山の雪」高村光太郎
「紫陽花のつぼみ」と「「山の雪」高村光太郎 わたしの小屋は村の人たちのすんでいるところから 四百メートルほど山の方にはなれていて、 まわりに一けんも家はなく、林や野はらや、少しばかりの畑などがあるだけで、 雪がつもるとどちらを見てもまっしろな雪ばかりになり、人っこひとり見えない。 むろん人のこえもきこえず、あるく音もきこえない。 小屋の中にすわっていると、雪のふるのは雨のように音をたてないから、 世界じゅうがしずかにしんとしてしまって、つんぼになったような気がするくらいだが、 いろりでもえる薪がときどきぱちぱちいった... ...続きを見る

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2008/05/24 23:55
「ハニーサックル」と「人の首」高村光太郎
「ハニーサックル」と「人の首」高村光太郎  私は電車に乗ると異常な興奮を感ずる。 人の首がずらりと前に並んで居るからである。 人間移動展覧会と戯(たわむれ)に此れを称(たた)えて よく此事を友達に話す。近代が人に与えてくれた特別な機会である。 此所に並んで居る首は、美術展覧会に於ける絵画彫刻の首と違って、 観られる為に在るのではない。 ...続きを見る

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2008/05/21 23:55
「柘植の花」と「念珠集」斉藤茂吉
「柘植の花」と「念珠集」斉藤茂吉 明治十九年十月十五日曇り。二銭柿代富太郎、茂吉え遣し。 明治廿三年正月七日。十八銭、茂吉授業料正二二ヵ月分。           十日休日。 三銭茂吉え遣し。        七月二日。五銭茂吉書物代。〜中略〜    十二月廿四日。二十二銭茂吉薬代。  こんな具合である。 ...続きを見る

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2008/05/18 08:50
「ニュードーン」と「バラの診察室」てっぽう虫対策
「ニュードーン」と「バラの診察室」てっぽう虫対策 薔薇好き園芸家のみなさん、憎っくき「てっぽう虫」には どういった対策を取っていらっしゃるでしょうか。 「てっぽう虫」とは「かみきりむし」の幼虫で、夏の間に幹の中に入りこみ、 中身をむしゃむしゃとを食べてしまうので、幹に穴をあけてしまうのです。 春先に薔薇の幹から「おがくず」のような粉が出ていたら、 幹が食べられてしまったということなのです。 近くに、いわば「森林公園」がある私の庭は、てっぽう虫の為に 沢山の薔薇を失いました。 ...続きを見る

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2008/05/18 08:49
「ほとけのざ」と「風の又三郎」宮沢賢治
「ほとけのざ」と「風の又三郎」宮沢賢治                                                   四月初旬撮影 「おじさん。馬置いでくるが。」と一郎の兄さんが云いました。 「うんうん。牧夫来るどまだやがましがらな。 したども少し待で。又すぐ晴れる。ああ心配した。 俺(おら)も虎こ山の下まで行って見で来た。 はあ、まんつ好(え)がった。雨も晴れる。」 「今朝ほんとうに天気好(え)がったのにな。」 「うん、又好(ゆ)ぐなるさ。あ、雨漏ってきたな。」     これは昭和文学全集より... ...続きを見る

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2008/05/14 21:33
「マダムアルディ?」と「グスコーブドリの伝記」宮沢賢治
「マダムアルディ?」と「グスコーブドリの伝記」宮沢賢治 ブドリにはネリという妹があって、二人は毎日森で遊びました。 ごっしごっしとお父さんの樹を鋸(ひ)く音が、やっと聴こえるくらいな遠くへも行きました。 二人はそこで木苺の実をとって湧水に漬けたり、 空を向いてかわるがわる山鳩の啼(な)くまねをしたりしました。 するとあちらこちらでも、ぽう、ぽう、と鳥が睡そうに鳴きだすのでした。  お母さんが、家の前のちいさな畑に麦を捲いているときは、 二人はみちにむしろをしいて座って、ブリキ缶で蘭の花を煮たりしました。 ...続きを見る

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2008/05/11 14:38
「柘植のつぼみ」と「死者の書」折口信夫
「柘植のつぼみ」と「死者の書」折口信夫 彼(か)の人の眠りは、徐(しず)かに覚めて行った。 また、黒い夜の中に、更に冷え圧するものの澱んでいるなかに、 目のあいて来るのを、覚えたのである。 ...続きを見る

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2008/05/07 08:53
「まつばうんらん」と「銀河鉄道の夜」宮沢賢治
「まつばうんらん」と「銀河鉄道の夜」宮沢賢治 ジョバンニは、せわしくいろいろのことを考えながら、 さまざまの灯りや木の枝で、 すっかりきれいに飾られた街を通っていきました。 時計屋の店には明るくネオン灯がついて、 一秒ごとに石でこさえたふくろうの赤い眼が、くるっくるっとうごいたり、 いろいろな宝石が海のような色をした 厚い硝子の盤に載って 星のようにゆっくり循(めぐ)ったり、 また向こう側から、 銅の人馬がゆっくりとこっちへまわって来たりするのでした。 そのまん中に円い黒い星座早見が 青いアスパラガスの葉で飾ってあ... ...続きを見る

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2008/05/04 10:43
「窓辺のななかまど」と「寿福寺」高浜虚子
「窓辺のななかまど」と「寿福寺」高浜虚子 「小説は尚お続きおり」 を書き終わったところへ、 「柏翠さんがお見えになりました。」 と云って来た。 柏翠の出てくる文章を書き終ったところに其当人が、 しかも三国から突然現れたのは 不思議な心持がせぬでもなかった。 ...続きを見る

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2008/04/27 12:16
「ななかまど」の花と「虹」高浜虚子
「ななかまど」の花と「虹」高浜虚子 以前柏翠が鎌倉の家へ来た時分に、 「此頃、愛子と結婚しようかと思うこともあるのですが・・・・・」 と私の顔を見てから、 「二人共体が悪いのですから・・・・・」 と言い澱(よど)んだ。 ...続きを見る

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2008/04/23 20:09
「ヒメツルソバ」と「蒲生氏郷」幸田露伴
「ヒメツルソバ」と「蒲生氏郷」幸田露伴           まずは、伊達政宗から ...続きを見る

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2008/04/22 20:40
春爛漫「アメリカハナミズキ」と「夢をかなえるゾウ」水野敬也
春爛漫「アメリカハナミズキ」と「夢をかなえるゾウ」水野敬也 ドラゴンクエスト、というゲームをやった日のことを、 僕は今でも覚えている。 僕は「勇者」だった。 僕は勇者である僕に自分の名前をつけて、ドラゴンクエストの世界で適を倒し、姫を救い出し、そしてみんなの拍手かっさいを受けてエンディングを迎えた。 でも今の僕はどうだろう。 僕は与えられた仕事をこなし、僕じゃなくてもできる仕事をこなす。 それって、何を聞かれても何をたずねられても、 「ここはアリアハンの町です」としか答えないドラゴンクエストの町の人じゃないか。 僕は変わりたい。そう思... ...続きを見る

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2008/04/20 23:29
「春いちばんの薔薇」と「或阿呆の一生」芥川龍之介
「春いちばんの薔薇」と「或阿呆の一生」芥川龍之介 「或阿呆の一生」は、それに詳細なインデキスをつけることによって、芥川龍之介の一生を通観することもできれば、芥川文学を要約することもできるであろう。この草稿は六月二十日とあるから、彼の自殺の決行のほぼ一月前の執筆であるが・・・・ ...続きを見る

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2008/04/17 22:12
「たんぽぽ」と「幻談」幸田露伴
「たんぽぽ」と「幻談」幸田露伴 さて、お話いたしますのは、自分が魚釣りを楽しんで居りました頃、 或先輩から承りましたお話です。 徳川期もまだひどく末にならない時分の事でございます。 ...続きを見る

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2008/04/13 21:06
「からすのえんどう」と「河童」芥川龍之介
「からすのえんどう」と「河童」芥川龍之介                 河童                                           どうかKappaと発音してください                      序 これは或る精神病院の患者、−第二十三号が誰にでもしゃべる話である。 彼はもう三十を越してゐるであろう。が、一見したところは如何にも若々しい狂人である。 ...続きを見る

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2008/04/11 22:05
「春いちばんの薔薇のつぼみ」と「傷春譜」
「春いちばんの薔薇のつぼみ」と「傷春譜」 なんて良いお天気でしょう! もうすっかり春ですね。 午後おそくから、しばらくサボっていたベランダガーデンの植物を見に行きました。 ...続きを見る

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2008/04/06 23:40
桜と電線と飛行機雲
桜と電線と飛行機雲 住宅地のとある敷地に桜が咲いておりました。 ふと見上げると、電線に区切られた住宅地の空に、ひこうき雲がのんびりとのこっているではないですか。 ああ、よいなぁ、のほほんとした春だな、と思い、携帯でパチリ! 帰宅後いそいそとブログに載せようと携帯を開くと・・・無い・・・ ...続きを見る

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2008/04/04 23:18
もくじ 
もくじ  昭和文学全集のものは、括弧内に巻数を記してあります。    ...続きを見る

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2008/04/04 10:53

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