四月初旬撮影
「おじさん。馬置いでくるが。」と一郎の兄さんが云いました。
「うんうん。牧夫来るどまだやがましがらな。
したども少し待で。又すぐ晴れる。ああ心配した。
俺(おら)も虎こ山の下まで行って見で来た。
はあ、まんつ好(え)がった。雨も晴れる。」
「今朝ほんとうに天気好(え)がったのにな。」
「うん、又好(ゆ)ぐなるさ。あ、雨漏ってきたな。」
これは昭和文学全集より書き出した文章。
同じところを名著復刻本(詳細末尾)にはこうあります・・・・
「おぢいさん、馬おいてくる。」と一郎のお兄さんがいひました。
「うんうん。牧夫くるとまたやかましいからな、
だけれども、ああ心配した。
おれも虎こ山の下まで行って見てきた。
はあ、まあま好かった。雨もはれる。」
「今朝ほんそうに天氣好かったのにな。」
「うん。また好くなるさ。あ、雨もつてきたな。」
ずいぶん違いますよね。宮沢賢治初心者の私です。
緑字は「名著復刻 日本児童文学館」なので、
子供用に(?)手直ししてあるのでしょうか。
宮沢賢治の作品を探して、中央図書館へ行きましたら
『校本 宮沢賢治全集 』という全集がありました。
作品に「凡例」「初期形」「校異凡例」様々なものがあります。
〜同じ作品が若干の草稿の違いや、構想の違いによって少しずつ違っているのです。
宮沢賢治の文庫作品には「底本」明記がしてあるものもありました。
(たとえば源氏物語「大島本」といったように)
・・・さて、何年か前に復刻版(緑字)を読んだことしかなかったのですが、
今回、昭和文学全集(文頭青字のもの)を読んで、かなりワクワクしました。
方言がなまなましく懐かしい!〜私の母と親戚が秋田なのです。
テレビでナマの東北弁が出ると標準語字幕が付くじゃないですか、
私は字幕無しでも理解できるんですよ、いえ、単なる田舎モノなんですけれどね、
こんな形で役に立つとは思いませんでした。
しかし、宮沢賢治は岩手県で、祖母は秋田県。
ひとくちに「東北弁」といっても微妙に使用単語が違うのです。
「おおむぞやな。な。何ぼが泣いただがな。」
私には『おおむぞやな』が解りません。名著復刻版を見てみました。
「おおかはいさうにな。な。なんぼか泣いただろ。」
ナルホド、そう読むのですね。
この作品には方言の注釈が欲しいと思いましたが・・
まあ、解らなくても温かみは伝わって来るから良しとすべきなのでしょうか。
又三郎には全て理解できなかった筈ですし。
注:生粋の東北地方の方々。
つたない方言しか知らない半分都会っ子
解説が不十分でしたらコメントで訂正してやってください。
私、方言も未熟者です。
宮沢賢治について少しネットをみていたところ「ちくま文庫は旧仮名で書いてある」と読みました。
今から読んでみようと思われる方々はそのあたりを考慮に入れてお気に入りの本をお捜しください。
青空文庫にも「風の又三郎」は二つあります。
「校本 宮沢賢治」 には「風野又三郎」という作品もありました。
ちょっと深く読んでみたくなります。不思議な魅力の宮沢賢治でした。

文頭の写真紫の花は「ほとけのざ」だと思います。四月上旬撮影。
よこの黄色の花は「かたばみ」。
・・・・ちいさな庭の片隅から
風の又三郎 宮沢賢治 昭和文学全集 巻四 小学館 (青字)
風の又三郎 宮澤賢治(羽田書店版) 名著復刻 ぽるぷ出版(緑字)

<画像右> 風の又三郎
昭和十四年十二月二十日 第一刷發行
羽田書店版
名著復刻版 日本児童文学館
昭和49年2月 ほるぷ出版
(大手古本チェーン店で数壱百円で購入
念のため、画像は左右逆じゃないです
この儘右から読むのです。)
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