「ちと」・・・読書と静かな生活と
「たんぽぽ」と「幻談」幸田露伴
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作成日時 : 2008/04/13 21:06
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さて、お話いたしますのは、自分が魚釣りを楽しんで居りました頃、
或先輩から承りましたお話です。
徳川期もまだひどく末にならない時分の事でございます。
江戸は本所の方に住んでおられました人で
ーー本所という処は余り位置の高くない武士どもが多くいた処で、
よく本所の小っ旗本などど、江戸の諺で申した位で、千石とまではならないような
百万石というような小さな身分の人達が住んで居りました。
これもやはりそういう身分の人で、物事がよく出来るので以て、一時は役づいておりました。
役づいておりますれば、つまり出世の道も開けて、宜しい訳でしたが、どうも世の中というものはむずかしいもので、その人が良いから出世するという風には決まっていないもので、却(かえ)って外の者の嫉(そね)みや恨みをも受けまして、そうして役を取り上げられまする、・・
そうして閑になった男は、暮らしに困るわけでもなく、奢るでもなく、偏屈でもなく、
のんびりと釣りを楽しんでいたのです。
そんな一見無欲な釣り客と、ものの解った船頭が二日間続いた「ぼうず」に
ちょっとばかり「欲」を出し、釣り場を探したことから始まる「欲」にまつわる意外なお話。
幸田露伴は気持ちよく読者の予測を裏返しつつ、ずんずんとお話を進めてゆきます。
すらりと読後、なんとなく思い返し、また、しばらくして思い返す。
余韻は段々と深くなる、不思議なお話でした。
「骨董」「観画談」いずれも軽めで、しかし印象深いお話。
幸田露伴の魅力を堪能できたと思います。
珠玉の名作を選りすぐってある文学全集を読むのも良いものだと改めて思いました。
「雪たたき」「連環記」の重さも味わい深いのですが、
軽めの作品群にもまた違った独特の幻想世界があります。
・・・ところで、以下は余談ですが、
京極夏彦「狂骨の夢」を読んだことが有る方々、
「幻談」を読んだ後、なんとなく瓢箪鯰の釣り人「いさま屋」を思い出しました。
「幻談」をお読みになった方々には「狂骨の夢」も面白いかと思います。
どうイメージが交錯するのか、自分でもまだぼんやりとしています。
私は釣りをしないのですが、釣り人ののんびりさ加減に共感したのかも知れません。
画像は「たんぽぽ」、セイヨウタンポポみたいです。
雑草として取りきってしまうには惜しい愛らしさです。
ねこの額の庭から、季節のたよりを添えまして
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