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help リーダーに追加 RSS 「ななかまど」の花と「虹」高浜虚子

<<   作成日時 : 2008/04/23 20:09   >>

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以前柏翠が鎌倉の家へ来た時分に、
「此頃、愛子と結婚しようかと思うこともあるのですが・・・・・」
と私の顔を見てから、
「二人共体が悪いのですから・・・・・」
と言い澱(よど)んだ。

私は暫く考えてから、
「結婚してすぐ不幸な目に逢う人も多いようだから、
まあ、よく考えてからにしたまえ。」といった。

そうしてなんだかそんなことは
言うべき事でないような心持もしたのであったが、
柏翠は決然とした口調で、
「結婚しないことにしましょう。其方が結局二人の幸福ですから。」
と言った。


此の物語の中に出てくる人たちは、実在の人物達なのですが、
どうしてこうまで自分を律して思いを秘めるのだろうと思います。
高浜虚子は俳人、登場人物たちもみな句を詠みます。
俳句は和歌より文字数が少ない分、歌の「ひと文字」の重みが増すのでしょうか。
此の人たちはそれを作るべく、日々鍛錬しているからなのでしょうか。


三国の町は九頭竜川に沿うて其河口迄帯のように長く延びている。
昔の日本海を通る船は大概此所に船繁りしたのだそうで、
三国港といえば随分殷賑を極めたものであったといわれる。
最近まで弦歌の湧き立つ妓楼が沢山あったそうである。
今でも町を通って見るとそれらしい家が軒を並べておるのが目につく。


なんとも薫り高く美しい文章です。
でも、此の一節のために広辞苑(電子辞書)5回も引いちゃいました(苦笑)。
折角だから書きます。
迄 きつ まで いたる・およぶ いくところまでいってせまる
船繁 ふながかり 船を繋(つな)いで港に泊ること。また、その港。
殷賑 いんしん 盛んでにぎやかなこと
弦歌 げんか 琴や三味線をひき、歌をうたうこと
妓楼 ぎろう 女郎屋


   浅間かけて虹たちたるや君知るや
   
   虹たちて忽ち君の在る如し
   
   虹消えて忽ち君の無き如し          高浜虚子



此の物語は「愛居」「音楽は尚お続きおり」と続きます。
天涯孤独の柏翠は十年ほど入退院をくり返しており、病院で愛子と知り合う。
三国の、母親と暮らす愛子の家へ身を寄せます。
柏翠は気胸をくりかえし、愛子も肺を病んでいます。
病床の愛子を元気付けようと、度々三国を訪れる高浜虚子。
単なる師弟愛でも無く、恋愛でも無いのですが、
唯々愛情が深まってゆく様子が淡々と記るされます。
しばらくして後、愛子はこの世を去るのですが・・・・・続きは次回に

画像は「ななかまど」
やっと満足に咲いてくれましたが、どう樹形を整えるのか
剪定の仕方が解りません。こまったなぁ・・・

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ちとさん、こんにちは。
ナナカマドは庭でも育てられるのですね。北国の山の野生木という印象が強いのですが。
高浜虚子をあまり知らないのですが、俳句のほかに、このような作品もあるのですね。虚子の人柄がよく表れているように思いました。読んでみたい気がしています。
エフ・エム
2008/04/24 11:14
エフ・エムさん、こんばんは。
コメントを頂きありがとうございます。
ナナカマド・・余り知識が無いままに植えてしまい10年になりますが、お陰さまでなんとか育っております。
もう少し大きくなったら木陰で「午後の紅茶」を楽しみにしていますが、更に数年が必要かと予想されます。
 虚子は歳時記の印象が強かったのですが、このシリーズはホトトギス等に寄せられたものだそうです。「いちばん良いところ」は書き出さないように注意して進めてゆこうと思います。亦よろしくお願いいたします。
ちと
2008/04/26 19:37

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